「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」
松林弘治/ KADOKAWA
2013年オバマ大統領がアメリカの国民に向けてこんなメッセージを送りました。
「スマホゲームで遊ぶ代わりに、スマホゲームをプログラミングしてみませんか?」
このオバマ大統領のメッセージの引用から始まる本書
「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」は
- 子供にプログラミングを教える重要性
- プログラミングによって子供の未来はどう変わるか
を具体例をだしながら教えてくれます。
小学校でプログラミングが必修化となり、算数や理科といった教科にプログラミングが取り入れられるようになります。
今までとは異なる学習環境で子供にどんな教育を受けさせたら良いか迷う親御さんは多いのではないでしょうか。
私も現在小学校1年生の娘、3歳の息子を育てているため、今後のプログラミング教育への取り組みの方向性を考えています。
現在は「ワンダーボックス/ WONDERBOX」というSTEAM教育領域の通信教材を自宅でとりくんでいるのですが、
プログラミングはこれから必要になるのでもっと本格的に取り入れたいと思っていました。
そんな時に、目に留まったのが本書「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」でした。
著者、松林弘治さんは大学卒業後システムの開発やオープンソースに関する研究開発を経てVine Linuxの開発に携わり、写真アプリ「インスタグラム」開始時に日本語翻訳を行い普及に貢献。
ご自身もお子さんがいるパパという立場で
なぜプログラミング教育が必要なのか論理的に教えてくれます。
これからは小学生でもプログラミングが必要な時代
「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」と主張する理由が丁寧に説明された本書を読めば
なぜこれからプログラミングが必要なのかわかるようになります。
また、プログラミングの基本的な知識やちょっとしたプログラミングのワーク、子供が意欲的に取り組めるようになる方法などすぐに取り組める実用的な内容も盛り込まれていますので、
プログラミングはよくわからないという方でも読みやすく
読んだあとには、「プログラミングの内容と必要性」が網羅的にわかるようになります。
本書のもくじ
はじめに:なぜ子どもにプログラミングを教えるのか
- 第1章 子どもをビジネスで成功させる近道は「プログラミング」だ
- 第2章 最新のプログラミング教室事情
- 第3章 「プログラミングって何?」と聞かれたら
- 第4章 基礎を理解して興味を持たせる
- 第5章 プログラミングを学んでみよう
- 第6章 子どもが将来も意欲的に取り組めるように
タイトルのユニークさが目をひく本書ですが
何を隠そう私も…「億万長者」というタイトルが気になり本を手にとったひとりです。
このタイトルは少々大げさに聞こえるかもしれませんが
やみくもに言っているのではありません。
と言うのも
世界的に成功している企業の創業者や経営者はプログラミングのスキルを持っている人ばかりという事実があるからです。
こちらがプログラミングスキルのある創業者・経営者のリストです
- ラリー・ペイジ(Google創業者)
- ジェフ・ベゾス(アマゾン共同創設者、CEO)
- マーク・ザッカーバーグ(フェイスブックの創業者)
- スティーブ・ジョブズ(アップルの創業者)
- ティム・クック(アップルCEO)
- ビル・ゲイツ(マイクロソフトの経営者)
- ジャック・ドーシー(ツイッター共同創設者兼CEO )
- ケヴィン・シストロム/マイク・クリーガ(インスタグラム創業者)
GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)、Microsoft、ツイッター、インスタグラムなど、私たちの身の回りにあるインターネットを使ったサービスの会社の創業者はみなプログラミングの知識を持っていると紹介されています。
このように、タイトルにある通り、子供を億万長者にしたければプログラミングのスキルは必要になります。
プログラミングは大事だよとよく言われているので、わかってはいたものの
ここまでビッグネームが並ぶとプログラミングのパワーに圧倒されます。
それでは、本書からピックアップした3つのポイントについてご紹介します。
なぜ子供にプログラミング教育が必要なのか

今後ビジネスの分野で成功したい場合、なぜプログラミングを学ぶ必要があるのでしょうか?
結論:
スピード感とタイミングが大切なビジネスの分野では、思いついたアイディアをすぐに形にできるプログラミングは必須だから。
著者が日本語の翻訳アシスタントを行ったインスタグラムのケヴィン・シストロムとマイク・クリーガはもともとアプリを開発できる程度のプログラミングスキルを持っていました。
そして、写真を共有する楽しみを前面に押したインスタグラムのアイディアを思いつき、すぐ自分たちの手で開発し世界的なブームとなりました。
これがもし他の会社に外注していたら違う結果になっていたかもしれません。スピードが速い時代には少しの遅れで他社に出し抜かれるなど命取りになることがあります。
その点インスタグラムでは創業者2人がプログラミングの知識があったためアイディアを思いついてすぐプログラミングし、情報が外部にもれることなく製品化できたことが成功へつながりました。
本書では、他にも人材育成の面からの必要性、ビジネス以外の視点から考えたプログラミング教育を学ぶ理由についても語られています。
プログラミングを学ぶことで
- プログラミング的思考によって理解力や応用能力が身に付く
- 子供のころから学ぶことで大人にはない感性で新しいアイディアが思いつく
など多方面での効果が期待されます。
子供がプログラミングに興味をもつには

プログラミングの面白さのひとつは「唯一の正解がない世界」ということです。
ブロックの積み木と似ていて、子供達が思い思いの発想で組み上げていく余地が残されています。
「こうでなければいけない」というものはないので、
まずは無料の「Scratch」などで自分で簡単なプログラミングを組んで動かしてみるという体験からはじめてみるのがおすすめです。
プログラミングというと数字や文字の羅列で難しく思われるかもしれませんが、「Scratch」は子供向けのプログラミング学習環境として開発されました。プログラムに使う命令はブロックになっておりブロックを動かし組み立てることでプログラムが作れるようになっています。
このようにゲーム感覚で簡単なところから始め、本格的に学ぶ足掛かりにする方法もあります。
また、パソコンやタブレットを使わないで行うプログラミングアクティビティも紹介されています。思考によってプログラミングの楽しさを教える方法です。
アクティビティ例:「学校の連絡網」を考えてみる
- 1クラス30人
- 担任の先生が最初に電話をかけます
- 1対1でしか通話はできません
- 1回の通話に1分かかります
- 全員電話はつながるとします
- 最後に電話を受けた人は担任の先生に電話をする必要はありません
この問いで考えられるパターンと所要時間
- 一人ずつ順番にかけた場合:30分
- 担任が一人ずつ全員にかけた場合:30分
- 担任の先生が二人の生徒にかけ、順に一人ずつかけた場合:16分
- 担任の先生も生徒も二人ずつかけた場合:8分
本書では連絡の仕方を少し変えることで所要時間に大きな差が出ることが図解で説明されています。
このようにパソコンを使わないでアルゴリズム(連絡の仕方)について考え楽しむことができます。上にあるパターン以外もぜひ考えてみてください。
プログラミングの学び方

著者は
パソコンやタブレットをただ使っているだけではダメだと言っています。
自宅でパソコンやタブレット、スマホのアプリを使いこなし、ネットで情報収集する姿を見ていると、わざわざプログラミングを学ぶ必要はないのでは?と思うかもしれませんが、著者はそれを否定しています。
たとえパソコンやタブレットの使い方がわかっていても
コンピューターの仕組みや動き、プログラミングを動かす経験、新しいアイディアを創造することができないからです。
だからこそ、小学校でのプログラミング教育必修化が進められ、子供向けのプログラミング教室が増えています。
そして教室以外にも子供向けワークショップなどプログラミングを楽しく体験できる機会も多くあります。
このような機会をとおして、まずは気軽にプログラミングに触れ、子供たちに表現の場を与えるのが大切とのこと。
親子で週末にゲーム感覚で一緒に取り組むこともおすすめです。
まとめ
コンピューターというとパソコンやタブレット、スマホという感じですが、
実際はもっと幅広い分野でコンピューターが使われています。
電子レンジや冷蔵庫、エアコンやテレビなど様々なものにコンピューターが埋め込まれています。また、最近はスマート家電と呼ばれるネットにつながる家電も出てきており、私達が想像するより広い範囲でコンピューターが扱われています。
このようなニーズを受けて、プログラミングを一般教養として教える動きが世界的に出てきています。
本書はプログラミングの基本的な内容から楽しむ考え方、勉強方法まで幅広く紹介されている
言わば子供向けプログラミングの教科書です。
子供から「プログラミングって何?」と聞かれた時や、プログラミングの始め方、プログラミングを本格的に学びたくなった時など
段階に応じて調べることが出来るとても便利な一冊です。