「挑戦」とは
成し遂げるのが難しいと思われることにいどむこと。
新しいことや困難なことへあえて立ち向かうことを意味します。
子供には失敗をおそれず、どんなことにも挑戦していってほしいですよね。
何かを成し遂げる時には必ず挑戦がつきものです。
挑戦がなければ何かを得ることはありません。
大きなものでなくてもいい、自分がやりたいことを見つけ挑戦して欲しいと大人は思っています。
ただ、それってやっぱり難しい
自分のやりたいことへ向かって真っすぐに、ひたむきに走っていける子供であればいいのですが
みんながそうではありません。
失敗が怖くて踏み出せなかったり、迷うこともあるでしょう。
自分のやることに自信が持てないかもしれません。
そんな時、そっと背中を押してくれる本があったら
勇気づけられるかもしれません

今回ご紹介する絵本に出てくる主人公も
順風満帆で常に成功していたわけではありません。
時には笑われたり、邪魔されたこともあります。
それでも自分の信念にしたがって、自分を信じて
あきらめなかったからこそ
偉業を成し遂げることができました。
今回の記事では、
これから自分の道を歩んで挑戦をしていく子供たちの視野を広げ
「やってみなきゃわからない」と
あきらめず挑戦し続ける大切さを伝えられる絵本4冊をご紹介します。
この4冊は大人でも楽しめます。
絵本を通して「挑戦する心」をお届けします。
挑戦する心を育てる絵本

挑戦する子供達の背中をそっとおしてくれる絵本を4冊ご紹介します
しっぱい なんか こわくない!
世界一のエンジニアになりたい女の子の挑戦の物語
絵がポップでカラフルなので4~5歳くらいから楽しめると思います。
この絵本は私の娘がすごく好きなのですが、主人公の気持ちに共感するようです。
あらすじ
主人公のロージーはエンジニアになりたくて小さい頃からたくさんのメカを作っていたものの、大人に笑われてしまったのがきっかけで隠れてメカづくりをするようになります。
そこへ同じく小さい頃に夢をもってモノづくりをしていた「おおおばさん」が遊びにやってきます。ロージーは「おおおばさん」とのやり取りを通して「失敗は大成功」「失敗なんかこわくない」と挑戦するようになります。
ロージーの座右の銘は「きっとできる!」
失敗を笑顔で迎え
次へつなげられる心を育てるとても良い絵本です。
このお話は、6歳頃から他の人から見た自分を意識するようになり、うまくいかないことは恥ずかしいと思うようになってきた娘の心にもささったようです。
数字はわたしのことば
実在した数学者をモデルに描かれた絵本です。
あらすじ
舞台はフランス革命真っ只中のパリ
生地屋の娘のソフィーは数学が大好きでした。
そして、数字をつかって宇宙のなぞを解き明かしたいと思うようになります。
しかし、女性には勉強なんて必要ないと言われていた時代
数学者になりたいなんて言おうものなら頭がおかしいとレッテルをはられてしまいます。
大人になるころには数学の実力によってソフィーの名が知られるようになります。しかし、そこでも「女性である」というだけで世間の目は冷たい。
それでも数々の苦難を乗り越え
ついに1816年王立科学アカデミーで大賞をとった最初の女性となりました。
その後、世界中でソフィーの方程式をもとに研究が進められ
パリのエッフェル塔や世界中の長い橋や高層ビルができました。
おすすめポイント
今の子供達にとって勉強は当たり前に存在し、むしろ勉強しなさいと言われることもあります。
しかし、女性は勉強が許されていなかった時代があったのです。
この事実は子供達の心に今までとは全く異なる価値観を持つきっかけとなるかもしれません。
あたりまえのように勉強ができる環境は、実はとても幸せなこと
エッフェル塔がソフィーの方程式をもとにつくられたとわかれば
「なんで数学なんて勉強するの?」
「数学なんて生きていくのに必要なくない?」
という考えはうまれないかもしれません。
逆境をおそれず、自分の信念を貫くために挑戦をあきらめなかったソフィーの紆余曲折の人生と成功への物語は必読です。
巻末に詳しい解説や物語にでてきた実験の方法ものっているので、読んで実際にやってみるのも楽しいですね!
星の使者
近代科学の父・天文学の父とよばれている
「ガリレオ ガリレイ」についての絵本です。
あらすじ
何千年ものあいだ人々が信じて疑わなかった「天動説:地球が宇宙の中心であり他の星が地球の周りをまわっていると考える説」に疑問を持ち、
いわゆる「地動説」の考えを最初に持ったのはガリレオ…
ではなく、コペルニクスです。
コペルニクスは自分の考えを証明することが出来なかったのですが、
その考えを引き継いだのがガリレオでした。
好奇心が強かったガリレオは幼いころからラテン語、ギリシャ語、音楽や神学を学びました。
そして大きくなってからは数学や物理学の分野を学び、実験や観察で活躍するようになります。
その頃「天体望遠鏡」が発明されたのをきっかけに、ガリレオの興味は夜空へと向かいました。
星に魅了されたガリレオは星に関する本を出版し、当時の明主メディチ家のバックアップを受け、ガリレオの名はまたたくまに世に広がりました。
しかし、ガリレオの活躍をよく思わない人々もいました。その中心にあったのはローマ・カトリック教会
教会の考えである「天動説」を否定するガリレオの主張に不満を感じ
ガリレオはとうとう裁判にかけられ…有罪となり自宅軟禁になってしまいました。
それから亡くなるまで、ガリレオは自宅から一歩もでることは許されませんでした。
それでも星への情熱を絶やすことなく研究をつづけ、亡くなる時まで自分の考えを伝えつづけました。
そして没後300年以上がたった
1992年10月31日
ようやくローマ・カトリック教会は裁判での過ちを認め、ガリレオの罪はなくなりました。
おすすめポイント
何と言ってもこの絵本の特徴は「美しい装丁」
クラッシックな挿絵は美術書のようです。
デザイン性を出すために、本編以外の注釈を縦書きにしたり ぐるぐるうずまきのように書いているのは多少読みづらくて好みがわかれるかもしれませんが、とても美しい絵本です。
絵本とは言っても、歴史的な内容や言葉が多くあるので、小学校低学年くらいだとまだ難しいかもしれません。ただ、すべての漢字にルビがふってありますので読むことは可能です。
この内容をある程度理解して楽しめるのは小学校中学年くらいかなと思います。むしろ、大人のほうが楽しめるかも。
最後の1992年にガリレオの罪が認められたというくだりは
え!?そんな最近!?なんて思ってしまいました。
没後300年以上たってからなんて…驚きですよね。
「星の使者」は、こんな昔にも自分を信じて信念をつらぬいた人がいたと知ることができる良書です。
これからの宇宙開発時代に向けて、宇宙への知識を深めるのにも役立つと思います。
フィボナッチー自然の中にかくれた数を見つけた人
「フィボナッチ」もガリレオと同様になかなか理解されない状況でも自分の信念をつらぬいて大きな発見を後世に残した数学者です。
あらすじ
今でも彼の名をとって「フィボナッチ数列」と呼ばれている数の性質を発見した人物です。
これだけ素晴らしい発見をしたのですから、子供の頃から天才的なのかと思ったら
フィボナッチの幼い頃のあだ名は「のうなし」
ただ、小さい頃から算数が得意で、学校でも計算は人一倍早かったのです
まわりの子供が計算で戸惑っている横で、あっという間に計算し終えたフィボナッチが数について考えていると
ぼーっとしていると思い込んだ先生が「のうなし」と言い、他の子供達ものうなしと呼ぶようになりました。
のうなしと呼ばれ、まわりから理解されない日々
そんな彼を変えたのは友人アルフレードの一言でした。
「きみを一番幸せにするものはなに?」
と問いかけたアルフレードの質問へのフィボナッチの答えは「数」
それを聞いたアルフレードはこう言いました。
だったら数のことを思い切り勉強してごらん。そうすれば、きみはいつもしあわせだ
フィボナッチ 自然の中にかくれた数を見つけた人
しかし、その後も大きな発見や最先端の数学について学び広めようとしますが人々は理解してくれません。
その内、フィボナッチは自然のあらゆるものには一定の法則があることに気づきます。
それこそが「フィボナッチ数列」
自然と数の神秘でした。
<絵本の終盤の言葉も本当に素敵なので引用してご紹介します>
これまでわたしが”のうなし”と呼ばれてきたのは、数のことばかり考えていたからです。でも、どうしてそれがいけないというのでしょう。母なる自然だって数を愛していたのですから!
アルフレードはうれしそうにいいました。「ほんとうに小さな植物もかわいらしい松ぼっくりも、せいたかのっぽの花も大きな海の波も、はるかかなたにある壮大な銀河も、みんなきみの数でできているんだよ、レオナルド」
フィボナッチ 自然の中にかくれた数を見つけた人
おすすめポイント
私たちが普段みなれている様々なものはフィボナッチ数列で表すことができます。




この絵本を読んでから、私自身も数の不思議と美しさに興味を持つようになりました。
普段見なれているものでも「なぜ?」と疑問を持つことはとても大切です。
ガリレオもそうでしたが、固定観念にとらわれ
みんながそうだと言うからそうに決まっている
という考えで固まってしまうと新しい挑戦へ向かうのは難しくなります。
間違っても大丈夫
熱中できるものがあるなら、やってみよう!
「フィボナッチ」は肯定感を高めて背中をおしてくれる絵本です。
まとめ
インターネットの普及で今は本当にいろいろな可能性があります。
実際は挑戦のハードルは下がっています。
でもそうは言っても、挑戦をまったく恐れない人はマレです。
失敗するのが恥ずかしかったり、まわりに変だと思われないかな?
と思ってしまうのは自然なこと。
だからこそ、フィボナッチの友達のアルフレードのような
挑戦をひとおししてくれる存在が必要です。
「きみを一番幸せにするものはなに?」とアルフレードは問いかけました。
今回ご紹介した絵本が子供たちに寄りそい
挑戦を応援してくれる存在になったら嬉しいです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
大人向けの絵本の紹介もしているので、ぜひご覧ください。